この記事は建設業許可のメリットについてご紹介します
建設業許可のメリットを簡単に説明した4コマ漫画.
もう少し面白みがある4コマを作りたかったのですが思いつきませんでした.
お客様に建設業許可を持っていることを自信深く説明する様子の4コマ漫画.
お客様や元請け先から許可を持ってますか?
と質問されたときに,
はい! 建設業許可持ってますよ!
このように自信をもって断言できることだと思うのです.
大阪府知事の墨付き業者であると言えることは何よりも素晴らしい!です.
お客様から質問されて,自信なさげに「持ってないです」と言わなくて良いのです.
事業が上手く行くかどうかは,経営者のモチベーションに左右されると私は思っています.
トップに意欲が無くなれば企業は衰退します.
個人的にはモチベーションアップが一番のメリットかなと思います.
建設業許可を取得すると得られるメリットを説明したイラスト.
私の見解でありますが,許可があることによって有利な点は7つあります.
上の図解と多少順番が前後しますが,建設業許可のメリットの性質は二つに分かれます.
建設業許可がなくても建設工事は出来ます.
しかしお客様に与える安心感は,許可ありと無しでは天と地ほどの差があります.
同じ仕事をお願いするにも,許可を持った方にお願いしたいと思うものです.
551の蓬莱のCMっぽい画像でご紹介します.
許可を持っていないときの状況を説明した画像.
許可を持っているときのお客様の様子を説明したイラスト.
建設業許可を取ると夢が膨らみますね.
建設業許可を取得することで500万円以上(建築一式工事なら1500万円以上)の工事を受注することが可能になります.
無許可業者では受けることが不可能であった工事が出来るということです.
金銭的な制約が取り払われて,営業活動の自由度も大幅に広がります.
500万円を超えない様に請求書に工夫する必要も無くなります.ちなみに請求書を割っても同じ目的の工事だとアウトです.
関連記事:500万円を超えそうなので請求書を分割するとどうなる?
建設業許可を新規でお問い合わせされる方の多くが
「元請けから許可がないと下請け仕事が回せなくなる」と言われて,許可を取得しようと思ったと仰られます.
昨今では500万円以下の下請け工事でも無許可業者だと現場に入れない事も普通です.
これ,すごく多いです.
建設業許可を取りたいと相談される方の大半が,500万以下でも許可が無いと仕事が回って来なくなると言っています.
逆に言えば建設業許可があれば,有力な仕事先を増やすことが出来ます.
国土交通省や大阪府は,建設業者にコンプライアンス(法令遵守)に関する行政指導を強化しています.
建設業の監督官庁は,
「無許可業者に500万円以上の工事を下請けに出す場合は建設業許可を持っている者にするように」と指導をしています.
指導の根拠は建設業法の24条の6にある元請け業者に対する下請け業者への指導義務です.
その影響でゼネコンなどの元請業者は,協力会社に対し許可を取ることを勧めております.
さらに自主規制で500万円以下の工事でも建設業許可を求めることも.
(個人的には行き過ぎ感もありますが)
また公共工事の下請けに無許可業者に依頼したことで営業停止処分を受けた元請け業者が存在します.
大阪府が実際に下した行政処分の文言を掲載いたします.
個人情報に配慮して,具体的な業者名や日時は墨塗にさせていただきました.
一定期間の全部の営業停止処分は事業を行う上で致命傷です.
建設業許可を取得することで新規の仕事先を獲得できるチャンスが増えることがメリットです.
優良な協力会社を求める建設会社は多いです.
インターネットで「協力会社 募集」で検索すると,色々な工務店や建設会社が下請け募集しているのがわかります.
建設業許可を持っていない会社でも協力会社になれるケースはありますが,許可ありと比べると報酬や仕事の内容は見劣りします.
またゼネコンクラスになると,建設業許可以外の条件も求められることも少なく無いです.l
この場合,有利になると言うより不利になると言えるかなと思います.
建設業許可申請が通り,許可が下りると大阪府や近畿地方整備局にて一部の申請書が一般公開されます.
個人情報保護の関係で経営者や技術者の経歴は非公開になりましたが,それでも建設会社の実績を確認するには十分な情報を見ることができます.
南港にある建設業振興課の閲覧室には,いつも多くの方が申請書の閲覧に来られています.
一般に公開される書類の中で,1年間に施工された代表的な工事を記載する工事経歴書や財務諸表が存在します.
これらを確認することで発注先は,建設業者の規模,経営内容,実績などを知ることができます.
優良な建設業者にとっては,無料で広告を打っているのと同じ効果が得られます.
決算変更届の事業報告書は使い方次第で,強力な広告ツールです.
事業報告書には以下の内容が記載されます.
これらをビッシリと記した気合の入った事業報告書を作る方も少なく無いです.
(ソフトに入ったテンプレの文書の人もいますけども)
わざわざ手間暇をかけて,事業報告書を作る人は,これらが広告になることを知っています.
情報発信ツールは一つでも多く持つことが重要です.
建設業許可があると公共工事を元請で受注できる様になります.
正確には建設業許可取得後に,経営事項審査を受けたあとに入札資格を各役所に申請する必要があります.
また公共工事は地元業者が優先的に受注できる仕組みになっています.
建設業許可のハードルは意外と高いです.
現在は6つの条件を全部クリアする必要があります.
また許可を取ると定期的に届出が必要です.
必要な事務手続きは大量にあります.
工事の現場には主任技術者や監理技術者を常駐(工事の規模では掛け持ちも出来る.)も必要になってきます.
建設業許可は1回取って更新なしで終わりの資格では無いです.
事業が存在する限り,半永久的に維持する必要があります.
建設業許可を取得と維持するために,企業体質の改善がメリットです.
役所が求める水準を保ち続ける事で,ステークホルダーとの信頼関係が強化されます.
許可申請で求められる水準を満たす過程で行われる企業体質の改善を通じて,図解の左側のメリットが発生します.
建設業許可を取得することで,従業員の求人にも好影響があります.
大阪府知事や国交相から社会保険完備にすることを義務付けられています.
許可を持っているから,間違いなく社会保険は全部ついてます,安心して働けますよとアピールすることが可能です.
無許可の業者では出来ないアピールの方法です.
許可を担保にして自社の健全性をウリにすることができるのです.
建設業許可を取得するには,健康保険等の加入状況という名称の書面を提出しなければなりません.
しかも申請の時だけでなく,毎年の決算変更届や更新申請の際にも必ず要求される書類です.
平成24年より建設業許可を取得には,社会保険をフル装備することが必要です.
令和4年の現在は社会保険は許可の必須要件になりました.
健康保険は建設国保に入ると,この部分だけは適用除外扱いになるとか.
ゼネコンでも土建国保というケースは少なくないわね.
建設業は非常にお金がかかる事業で資金需要が旺盛な業種です.
建設工事の多くは,お金が入るよりも先に支出が発生してきます.
外注費の支払いや職人さんへのお給料に材料費などが必要になってきます.
銀行など金融機関から融資を受ける場合,許可を持っている事が前提条件です.
最近は融資の為だけに建設業許可を取る人は少ないですね.
事業で不要なライセンスを資金繰りのためだけに持つのは非生産的だと思う人が増えてきたからですかね.
建設業許可のメリットでした.
ここまでお読みいただき,ありがとうございます.
ここからは建設業許可のデメリットをご紹介します.
建設業許可は多大な恩恵がある反面,色々な負担がふえるのも事実です.
建設業許可を取得するとメリットとデメリットがあることを説明する4コマ漫画.
許可の人的要件の大変さを物語る4コマ漫画.
建設業許可のデメリットを図解にしたものです.
建設業許可を取得するにはコストが掛かります.
上記の図は少ない目に見積もってます.
多い時はコミコミで30万円は吹っ飛ぶことも.
大阪府知事許可を取得する際に,官公庁に手数料や税金がかかります.
一般建設業許可の新規で9万円からの手数料を大阪府に納めることに.
参考までに大阪府の建設業許可の手引きを参考に建設振興課に納める手数料を表にまとめました.
これはご自身で申請される場合でも必要なお金になります.
また申請をした後に許可が下りなくても,大阪府からの返金はありません.
ゆえに建設業許可を申請する場合は慎重に用件を満たしているかを確認しながら行う必要があります.
申請の種類 | 一般建設業or特定建設業のどちらか一方 | 一般と特定の両方を申請 |
---|---|---|
新規申請 |
9万円 | 18万円 |
許可換え新規 | 9万円 | 18万円 |
般特新規 | 9万円 | 18万円 |
許可業種の追加 | 5万円 | 10万円 |
許可の更新 | 5万円 | 10万円 |
般特新規+業種追加 | ------ | 14万円 |
般特新規+許可の更新 | ------ | 14万円 |
業種追加+更新 | 10万円 | 15万円20万円 |
般特新規+業種追加+更新 | ------ | 19万円 |
建設業許可の手続きには,区役所や法務局,府税事務所や年金事務所から様々な書類を取得が必要.
それらのコストも馬鹿になりません.
一例をあげますと,
役員や個人事業主,支店長などの令3条の使用人に必要な証明書等でしたら,
これらの証明書が人数分必要になります.
例えば役員クラスが10人いれば,6000円かかる事に.
証明書は郵便で請求することも可能です.
この場合は往復の郵送料が必要になってきます.
10人分を速達で請求すると,
速達にした場合は,郵送料で5200円かかります.
役員関係の書類入手だけで1万円を超えた形になりますね.
書類は他にも社会保険関係や資格関係の入手費用,各種請求書などのコピー代を合わせると
2万円を超えることも珍しくありません.
本当に急ぎの場合は郵送ではなく役所へ訪問します.
この場合は電車賃やバス代,ガソリン代などが必要になってきます.
また取りに行く人の時間給分のコストもかかります.
例えば,大阪市都島区から南港の咲洲庁舎まで行くと,距離は20キロ前後です.
車の場合
高速料とガソリン代を考えると
電車の場合
往復の交通費だけで1000円前後が必要になる計算.
普通に建設業許可だと1時間程度の拘束が発生します.
(経審だったら2時間もザラ)
交通時間と合わせると3時間が拘束されます.
時給を2000円とすると,出向くだけで6000円の人件費が発生
交通費と書類収集にかける費用だけでも2万円は軽く超える事が分かります.
建設業許可は多くの場合,行政書士に依頼される方が多いです.
理由は作る書類が多すぎて大変だ,名前だけ聞いても何の書類か分からないものが多い.
建設業許可の申請手続き書類枚数は,多いときは100枚を軽く超えます.
(新規で常勤役員等,10年の専技で証明する場合は段ボールが必要なケースもあり)
新規申請の場合,プロの行政書士でも10時間は絶対に掛かります.
慣れていない人だと作成時間に3倍程度は見積もった方が良いかなと思います.
事務担当者の時給を2000円とすると
大阪府知事許可に限らず,すべての役所では許可を取得の手引きが存在します.
大阪府もウェブサイトからダウンロードができます.
この手引きですがボリュームが非常に多い(新規申請で125ページ,変更申請で73ページ)あります.
正直言って読みやすいとは言い難いです.
自社で必要な情報をピックアップするのに10時間程度は軽く必要だと思います.
時給で換算すると,20,000円は消えていく形に
また会社の状況によっては,手引きに記載されていないケースなどもあります.
(大抵は何がしかの問題が存在する.)
正直,これかなり大変です.
想像以上に時間も掛かりますし,途中で断念する方も少なく無いです.
建設業許可を取らなくても建設業法の規制を受けますが,無許可の時よりも多くなります.
特に無許可営業をしてしまうと,高額の罰金などもありますのでご注意ください.
許可で特権を享受できますが,同時に行政庁から様々な義務を背負わされます.
国土交通省の職員の言葉を借りると
「許可取ってもらって,建設業者を役所の網にかける」ということです.
例を挙げますと下記のような義務が発生します.
建設業許可の義務は少なく無いです.
この中で一番ハードなものが「工事現場への主任技術者の配置」だと思います.
建設業許可を取得すると,仕事のやり方が変わってきます.
現場サイドで一番インパクトが大きいのが,工事現場に主任技術者や金額によっては監理技術者を常駐させる必要が出てきます.
主任技術者に関しては,こちらの記事で詳しくご紹介しております.
しかも工事現場に派遣した記録を1年ごとに提出する決算変更届の工事経歴書に記載しなければなりません.
これは掛け持ちが出来ない現場で同じ主任技術者を派遣していないか?
資格がない人を主任技術者にしていないかなどがチェックされます.
建設業許可には閲覧制度があり,申請した書類の一部を広く一般に公開されるというものがあります.
閲覧制度はメリットにもなりますが,同時にデメリットでもあります.
昨今では個人情報の保護の観点から,
個人の履歴書めいた書類は非公開になっています.
それでも会社の財務状況が明確になる貸借対照表や損益計算書といった財務諸表,貴社の工事経歴書は誰でも見る事が可能.
(大阪府の閲覧室は,常に調査会社のスタッフで大混雑)
大阪府の建設業許可の手引きを参考に作成しました.
表をご覧いただくと,かなりの書面が誰にでも見れるようになっていますね.
書類の名前 | 書類番号 |
---|---|
建設業許可申請書 | 第1号 |
役員等の一覧表 | 別紙1 |
営業所の一覧表(新規許可更新) | 別紙2(1)(2) |
証紙の貼り付け用紙(大阪府への手数料) | 別紙3 |
専任技術者一覧表 | 別紙4 |
工事経歴書 | 第2号 |
直前3年の各事業年度における工事施工金額 | 第3号 |
使用人数 | 第4号 |
誓約書 | 第6号 |
令3条に規定する使用人の一覧表(支店長営業所長) | 第11号 |
財務諸表(法人用個人用) | 第15号から第19号 |
定款 | --------- |
営業の沿革 | 第20号 |
所属建設業団体 | 第20号の2 |
健康保険等の加入状況 | 第20号の3 |
主要取引先金融機関 | 第20号の4 |
大阪府の南港で閲覧できる建設業許可の申請書には,決算内容や3年分の工事ごとの実績や具体的な工事内容が判明する資料が存在ます.
これらの3つの書類で,御社の財務状況がある程度ですが判明します.
株式会社であれば官報に掲載する決算報告よりも詳細なデータが掲載されます.
個別のや完成工事未収入金(売掛金)などの情報は掲載されませんので少しだけ安心ですね.
一般公開される情報の中には,御社の従業員や技術者の人数,役員の名前などがあります.
上の決算内容と合わせるとある程度,会社の規模や収益性といったものが見えてしまいます.
これらの情報もアピールの仕方次第では,新しい仕事を得るための広告として活用することができます.
閲覧できるデータには各種の変更届や1年ごとに決算報告があります.
特に決算変更届が提出されていないと,直ぐに分かるようなってます.
大阪府の閲覧室で紙のファイルで綴じられているため.
(抜けがあると届出の懈怠がバレバレに)
毎年の決算変更届が未提出だと,御社のイメージがダウンするリスクがあります.
(最低限のコンプラすら出来ていないルーズな会社として)
このご時世でコンプラ違反は致命傷です.
また株式会社のみですが,事業報告というものがあり,これを広告ツールとして活用している業者もあります.
(弊社の行政書士の肌感覚で10社に1社くらいでビッシリと事業報告が記載されてました.)
許可を取得すると営業電話が増えます.
これは新規で許可を取った方の多くが経験します.
(一般公開さえた故に営業会社のリストに掲載されるため)
建設業の看板の電話から始まり,集客用HPや人材派遣など色々な会社からテレアポがあります.
求人誌の営業もかなりあります.
建設業許可の情報は,検索サイトや都道府県のサイトから名簿がダウンロードできます.
(ここで分かるのは最低限の情報)
詳細な情報を求めるならば,役所に出向いて許可申請書を閲覧する方法があります.
営業電話やダイレクトメールを出せる程度の情報は,ネット上でも入手が可能です.
建設業許可には有効期限があり5年ごとに更新となっています.
許可期限が超えると,問答無用で取り消されます.
期限切れの救済制度は存在しません.
許可を取り直す場合は,新規扱いの申請になり,許可番号も新しくなってしまいます.
許可番号が変わると取引先などに通知する必要があり,大きなイメージダウンになることは間違いありません.
当サイトには更新を忘れた場合に関する記事もありますので,ご興味のある方はご覧ください.
行政書士に建設業許可関連の手続きをご用命いただいた場合は,
アフターフォローとして許認可の期限が切れる前に御社にお知らせするサービスをしている事務所が多いです.
事前にお知らせすることで許可期限切れのリスクを回避できます.
建設キャリアアップシステムの登場で,許可番号の継続年数も分かるようになりました.
宅建免許などと同様に許可番号自体にもブランド価値が生まれるようになります.
建設業許可はヒトの条件の比重が重い資格です.
一定のスキルや資格を持っている人を揃える必要があります.
また経営業務の管理責任者や専任技術者が1日でも欠けてしまうと許可が取り消しになります.
経管は個人事業主や社長,役員等の経営陣がなりますので比較的に退職問題は少ないです.
(ゼロではない.)
専任技術者は従業員がなるケースが多く退職リスクが高いです.
いきなり技術者が居なくなると,許可が厳しい面があります.
昨今では建設業者に対して従業員に厚生年金健康保険雇用保険を付けることが社会的にも求められています.
そして許可業者になるには社会保険完備であることが事実上の要件要件の一つになっています.
社会保険の納付は下手すると税金よりもキツいものがあります.
近年はコンプライアンスの観点から,許可を取らないデメリットも大きいです.
500万以下の工事でも許可が無いと現場に入れない
元請から強く許可取得を求められる
その為か減少傾向だった建設業許可業者が増加しております.
建設業許可を取るデメリットでした.
ここまでお読みいただきありがとうございます.
行政書士やまだ事務所 所長
行政書士 山田 和宏
日本行政書士会連合会 13262553号
大阪府行政書士会 6665号
大阪府行政書士会 法人研究会会員
申請取次行政書士(大阪出入国在留管理局長承認)
大阪商工会議所 建設・建材部所属
建設業経理士2級
【適格請求書発行事業者】
インボイス登録済
番号:T1810496599865
【専門分野】
建設業許可、経営事項審査、CCUS登録など建設関連の許認可手続き。
産業廃棄物収集運搬業、古物商免許。
年間相談件数は、500件を超える。
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