行政書士やまだ事務所が実際に受任した案件をご紹介します。
個人情報が分からない様に、内容を一部改変しております。
あと時期も直近ではなく数年前にあった事例です。
まずはご紹介する事例の概要について。
最初のご連絡は電話でのお問い合わせ。
建設業許可の更新を依頼したいとのこと。
実際にお話を聞くと、決算変更届が5期分未提出と。
今回の特殊事例は、前任の行政書士からの変更案件です。
前任者は5期分の決変と更新申請を担当していました。
問題は建設業許可の副本を依頼者に交付していない状況です。
件の行政書士は廃業して、事務所も無くなり所在不明になってしました。
(事務所の引継ぎも連絡もなく突然に引退した模様)
そのため会社に残っているのは、ご自身で作成した当時の申請書のみでした。
あとお電話を貰った段階で許可期限まで1か月を切っている状態。
幸い役員の任期が大丈夫だったのが不幸中の幸いです。
(重任登記が間に合わないリスクがあります)
今回は前回の更新と決算変更の情報が無いところからスタートでした。
前回に提出した内容と齟齬があると役所で受理されません。
ここでの情報収集いかんで許可の更新がスムーズに行くかが決まります。
面談に入る前に南港にある咲洲庁舎にある建築振興課へ向かいました。
そこにある閲覧コーナーで依頼者さまの情報を収集します。
閲覧コーナーはスマホ撮影やPC持ち込み禁止のため、情報を写すには持参した申請書にシャーペンで書き込みです。
閲覧コーナーでは全ての書類を確認できません。
一部は非閲覧になっています。
例えば常勤役員等の略歴書や許可申請者の調書などは、個人情報の塊のため非公開です。
残りの情報は残っていた申請書と先方の担当者様とのヒアリングで復元できました。
あの時は長時間お付き合い頂きありがとうございました。
決算変更届は5期分の確定申告書や5年分の工事情報のエクセルをお借りして作成しました。
特に工事経歴書の作成が大変です。
依頼者様は8業種の許可をお持ちでしたので、工事経歴書を40枚分の作成になります。
あとは財務諸表、直前3年の各事業年度における工事施工金額を作成します。
この3点の書類が完成すれば、決算変更届は9割がた終了です。
あとは5年の間に従業員の減少があったので、健康保険の変更届を作成しました。
唯一の社員の退職だったので、雇用保険が適用除外になる報告です。
また決算変更届では従業員の増減があった場合、従業員数の報告が必要になります。
全ての決変と変更届が完成後、更新申請の書類を作成します。
閲覧コーナーとヒアリングで得た情報を元に申請書を作成します。
その間に役員の方の身分証明書や登記されていないことの証明書、納税証明書などを取得しました。
こちらの写真が完成した書類になります。
申請者の分厚さが国語辞典を同じくらいのボリュームがあります。
この後最終チェックを入れて、翌日の朝に南港の咲洲庁舎にて申請いたしました。
ご依頼者様と面談して1週間後のことです。
書類自体は特に問題もなく一発で受理され、1か月後に無事に更新許可の通知がご依頼者様の会社に届きました。
簡単にですが、今回の事例への総括を。
まずは前任の行政書士から控えを貰っていなかったことが大きかったです。
中には依頼者側から言わなければ控えを交付しない方も居ます。
単純に失念したか、依頼者側と何らかのトラブルがあったのか。
それとも戦略的に渡していないかは分かりかねますが。
弊所では報酬のお支払いが確認取れ次第、必ず副本をお渡しするようにしています。
控えが無いと将来的にご依頼者様が困ることになりますので。
今回のように行政書士が引退して連絡がつかなくなると取り戻すのは難しいです。
申請書の控えは、次回の更新許可で必須書類です。
更新申請をする際には、前回の申請書と変更届&5冊の決算変更届の副本を提示する必要があります。
また申請書を作成する難易度が上がります。
更新申請は前回の申請書などと齟齬があった場合、受理されない仕組みです。
あとは決算変更届などの変更届は締め切りを守って出すことです。
5期分まとめて出すのは非常にリスクの高い行為です。
役所から指示処分から営業停止処分のリスクがあります。
(最初は口頭での行政指導レベルですが)
5期分を出していないケースだと、他の届出も失念してる可能性が高いです。
届出の中には致命傷に至るようなものもあります。
特に経管や専技が退職して数年間放置とかになると、実態は無許可で建設業を行っていることに…
建設業許可は取るのも大変ですが、長年にわたって維持するのはもっと大変です。
弊所は建設業許可を維持するためのお手伝いがメインの仕事です。
ご依頼いただけた場合は、決算変更届の時期が来ましたらアラートを送信します。
またご連絡頂ければその都度に適切な変更届やアドバイスをさせて頂きます。
弊所に対応できない話の場合、他士業にお繋ぎするなど出来る限りの努力を致します。
最後で説教臭い話になってしまい、申し訳ないです。
以上が前任の行政書士が引退した建設業許可の事例でした。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
行政書士やまだ事務所 所長
行政書士 山田 和宏
日本行政書士会連合会 13262553号
大阪府行政書士会 6665号
大阪府行政書士会 法人研究会会員
申請取次行政書士(大阪出入国在留管理局長承認)
大阪商工会議所 建設・建材部所属
建設業経理士2級
【適格請求書発行事業者】
インボイス登録済
番号:T1810496599865
【専門分野】
建設業許可、経営事項審査、CCUS登録など建設関連の許認可手続き。
産業廃棄物収集運搬業、古物商免許。
年間相談件数は、500件を超える。
【運営サイト】