
この記事は電気工事業の建設業許可取得について。
500万円以上の電気工事を行うために必要な資格です。
最近は500万円以下の工事でも求められるケースが多くて、取引先からの圧で取得せざるを得ないケースも。
(某サラリーマンや万博のトラブルで問い合わせが増えております。)
または法的な問題で引っ掛かりたくないから取得したいという会社も。
電気工事業とは、いわゆる強電工事をさします。
弱電工事は電気通信工事の範囲に含まれます。
最近では太陽光発電関連の工事で取得を検討されるケースが多い感じがします。
この記事では一番多い都道府県知事&一般建設業許可についてご紹介します。
この許可を取得する為には、建設業法で定められた5つの要件をクリアする必要があります。
要件に関する細かい解説は別記事にてご用意しております。
要件は6つあり、どれも重要ですが。
特に重たいのが①常勤役員等、②営業所技術者(専技)の二つです。
電気工事業の場合、技術者の要件が特殊でややこしいです。
この記事では専技要件を重点的に説明いたします。

まず最初に常勤役員等について。
一般的には旧名称の経営業務の管理責任者(経管)と呼ぶ人が多いです。
(役所の人も未だに経管と言っています。)
ありていに言うと事業の管理者に建設業の経営経験者が必要ということです。
建設業許可で一番難しい部分と言われています。
理由は常勤役員等は経営経験が必須になるからです。
(学歴や国家資格でショートカット不可)
一般的には上記の2類型が大半を占めます。
他にも準ずる地位(執行役員)や補佐経験(個人事業主の家族)、常勤役員と補佐3名を置く方法もありますが…
正直言うと、絶対数が少なく証明も難しいケースが多いです。
弊所では補佐経験での常勤役員等の許可経験がございます。
必要書類については、都道府県ごとで微妙にことなりますが…
上記の書類を年数分準備することが多いです。
必要書類については、別記事で詳しく解説しております。

電気工事業の建設業許可は他の技術者とは一味違います。
電気工事は資格者ありきの許可業種で、実務経験だけで取得できないジャンルになります。
電気工事は上記いずれかの条件を満たした技術者が必要です。
弊所で一番多いのは、第二種電気工事士の登録証と3年の実務経験です。
ちなみに特定建設業許可を取得する場合は、1級電気工事施工管理技士の資格も必要です。
電気工事士以外の資格者でも電気工事業の免許は取れますが…
許可を取っても自社で工事ができないです。
電気工事の施工は電気工事士のみ可能だからです。
施工管理技士は管理監督する資格で、工事を行う資格ではないです。
次に第二種電気工事士の実務経験ですが…
電気工事士取得後からの実務経験になります。
建設業許可の資格+実務経験での実務は資格取得後からのみ認められます。
第一種電気工事士の実務経験カウントと少し異なるのでご注意ください。
また電気工事士の場合、電気工事は免許が無いと行えません。
仮に免許取得前に強電工事を行ったとして実務経験証明書を出したら法令違反になります。
専任技術者の実務経験は、実務経験証明書(様式第9号)という書類を使って行います。
これは履歴書の様な書類で、証明者(雇用者など)での経験を記入するものです。
実務経験証明書に書いた工事には裏付け資料として、工事契約書や注文書が必要です。
大阪府の場合は請求書でも可能なケースありますが、記載した工事分必要です。
ちなみに滋賀県の場合は、請求書NGで契約書か注文書、発注者からの証明書が1件になります。
(都道府県によって必要書類は大きく異なります。)
電気工事の許可業種にはもう一つ注意点があります。
経験を積んだ会社が電気工事業の登録があるところです。
電気工事業は建設業法とは別に電気工事業の業務の適正化に関する法律の縛りがあります。
登録をしていない業者での経験は実務経験にカウントされません。
(大き目なコンプラ違反状態になっています)
審査の段階でも実務経験の証明者が登録を持っているか確認が入ります。
可能であれば、窓口審査の段階で電気工事業登録の証明書や申請書の表紙(役所のハンコあり)を持参すると良いでしょう。
(役所の人からも、手引きには無いけど持って来て欲しいと言われます)
弊所は可能な限り、電気工事業登録を証明する資料コピーを持参するようにしています。
スムーズな審査への協力は担当官への心証が良くなります。

経管と専技の次はその他の要件になります。
経管と専技をクリアできればゴールは目前です。
人要件以外の要件は、後からでも準備できることが多いからです。
(欠格要件は厳しいかもですが)
まずは欠格要件から。
役員は個人事業主、支店長(令3条の使用人)など、対外的な責任者に求められるものです。
意思能力がある、一定の法令違反に該当しない、反社会的勢力とは関係が無い、自己破産者ではない。
これらを証明する必要があります。
意思能力と破産者ではないについては、市役所で身分証明書、法務局で登記されていない事の証明書を提出します。
登記されていない事の証明書は申請書作成で注意点があります。
それ以外の欠格要件(法令違反系)は書類提出後に審査されます。
具体的には建設業関係は役所内、前科・反社系は警察に照会がかけられます。
次に誠実性について。
建設業を営むにあたり不誠実な契約や仕事をしていないかです。
具体的には建設業法で処分を受けていないかになります。
欠格要件と誠実性については、別記事で解説しております。
ご興味がございましたら、こちらの記事もご参照頂けると幸いです。
次に財産的基礎について。
一般建設業許可を取得する場合、500万円以上の自己資本か預金の証明が必要です。
500万円以上の自己資本の証明は、法人の場合は、確定申告書と決算報告書(税務用)。
500万円以上の預金証明は銀行の残高証明書になります。
個人事業主の場合は、500万円以上の預金残高証明書がデフォになります。
建設業許可の営業所とは、工事の契約や見積もり(積算)を行う場所になります。
これらの証明は物件の賃貸借契約書や登記簿謄本、営業所の写真で証明します。
営業所には看板や表札、事務機器や固定電話が必要です。
少し前から要件になった社会保険の加入。
厚生年金、健康保険、雇用保険、労災保険の4つの加入です。
法人である場合は、フルセットでの加入。
個人事業主でも5人以上の雇用がある場合もフルセット。
役員のみの法人だと雇用保険の加入は不要です。
個人事業主で一人親方の場合は、全て適用除外になります。
ちなみに経管と専技の常勤性確認も社会保険の有無で確認されます。
具体的には標準報酬決定通知書の提出が求められます。
法人で許可を取るときの注意点。
定款の事業目的に電気工事に関するものが入っていることが大事です。
大阪府の場合は、「建設業」の文言があれば29業種全部OKです。
他の都道府県場合は、文言の内容が変わってきます。
申請する前に確認が必要です。
もし定款と登記簿に電気工事の関する事業目的がない場合…
大阪府の場合、次回の決算変更届を出すときまでに定款と登記を変更する旨の文書提出で対応可能です。
許可取得後に定款と事業目的変更の登記を行います。
これらはご自身で行うことも可能ですし、司法書士さんに依頼することも可能です。
弊所にご相談頂きましたら、司法書士先生をご紹介できます。

最後に電気工事業で建設業許可を取得後について。
申請書一式を役所に提出して審査をクリアすると許可通知書が送付されます。
大阪府の場合は事務所に許可通知書が届きます。
他の許可業種だと、通知書が出た瞬間から500万円以上の施工できます。
電気工事業の場合は、もう一つ電気工事業の登録が必要です。
建設業許可業者の場合、みなし電気工事業者に該当して登録を行います。
大阪府等の役所は管轄が違うので教えてくれないので、忘れがちな手続きです。
電気工事業の登録に関しては別記事で詳しく解説しております。
ご興味ありましたら、こちらの記事もご覧頂けると幸いです。
大阪府の場合、府庁ではなく大阪府電気工事工業組合が提出先です。
大阪市北区の本庄東に事務所があります。
関電の扇町営業所の筋向いになります。
以上が電気工事業で建設業許可を取る場合でした。
ここまでお読みいただきありがとうございました。

行政書士やまだ事務所 所長
行政書士 山田 和宏
日本行政書士会連合会 13262553号
大阪府行政書士会 6665号
大阪府行政書士会 法人研究会会員
申請取次行政書士(大阪出入国在留管理局長承認)
大阪商工会議所 建設・建材部所属
建設業経理士2級
【適格請求書発行事業者】
インボイス登録済
番号:T1810496599865
【専門分野】
建設業許可、経営事項審査、CCUS登録など建設関連の許認可手続き。
産業廃棄物収集運搬業、古物商免許。
年間相談件数は、500件を超える。
【表彰】

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