この記事は建設業許可の財産的基礎と金銭的信用についてご紹介します.
建設業許可の3番目の要件は財産的基礎です.
建設工事はお客様や元請け先から代金を頂戴する前に,建設道具や資材,職人さんへのお給料に外注費など様々なコストが必要.
それらを滞りなく支払うには,一定以上の財産が必要になります.
結論から書きますと,どちらかを準備できれば要件を問題ありません.
請負契約を履行するに足りる財産的基礎または金銭的信用を有していること
一般建設業許可
特定建設業許可
また財産的基礎の要件は一般建設業と特定建設業許可では全く要件が違います.
特定建設業許可のハードルの高さは一般許可とは比べ物ならないほどに高く設定されています.
3パターンに分類されます.
自己資本とは,会計でいうところの資本金にあたります.
個人と法人では自己資本の定義が異なります.
法人は純資産を表しますが,個人事業主の場合は事業主借や事業主貸があり自己資本の計算方法がややこしいです.
法人の自己資本は,純資産の部に計上されている金額の合計です.
純資産の合計が500万円を超えていれば,法人の要件は達成します.
個人の自己資本は期首資本金に事業主仮勘定,事業主利益の合計額から,事業主貸勘定の額を控除した額に,負債の部に計上されている利益留保性の引当金,準備金の額を加えた額.
文書にすると何だこれ?って感じですね.
ですので,図解を用いてご説明します.
図解で紹介された自己資本の部分が500万円以上あることを証明すれば,個人事業主の財産的要件を満たしたことになります.
関連記事:建設業許可の貸借対照表(個人事業主)の作り方と記載例
大阪府など役所に提出する書類は,ケースバイケースです.
創業直後の個人事業主だけ,貸借対照表と残高証明書の2種類が必要になります.
確認書類は,法人と個人さらに1期目の決算を終了したか,してないかで書類が微妙に異なります.
500万円の資本金が無い会社や個人さんの場合は,500万円以上の金銭的信用(資金調達能力)を証明することで財産的基礎を立証することが可能です.
今の株式会社は資本金の制約が少なくて,500万円の資本金を切る会社も珍しくありません.
この様に500万円の純資産や自己資本がない会社は500万円の現金を持っていることを証明することで,金銭的信用を立証することになります.
500万円の資金がない場合,500万円の自己資本が貯まるか,500万円あるタイミングを狙って証明書を入手する必要があります.
残高証明書の発行には手数料が必要になります.
あと銀行にもよりますが,電話やネットで請求は出来ない金融機関があります.
また印鑑や通帳など必要書類なことも.
三井住友銀行の残高証明書の申請方法は以下のURLより
https://www.smbc.co.jp/kojin/otetsuduki/sonota/zandaka/
証明書は郵送か窓口受取の二種類あります.
詳しくは金融機関のwebサイトでご確認ください.
印象として銀行など金融機関は,役所以上に本人確認が厳格な場所が多いです.
大阪府など銀行に提出する残高証明書にはポイントが幾つかあります.
預金残高の証明日が申請日の28日以内というのは,古い証明書では現在の預金が幾らあるのか分からないからです.
例えば3か月前に発行した残高が申請日に残っているかは,申請した方にしか分かないので証拠に使えません.
残高証明書の銀行名は,主要取引金融機関名という書類に記入が必須.
意外と残高証明書で,やってしまいがちな失敗をご紹介します.
発行日を証明日と勘違いして,使えない残高証明書を提出することです.
(窓口で担当官に,この書類は要件を満たしていませんと突っ返される)
上記の画像の様に,発行日が7月26日で証明日が7月21日みたいな感じですね.
残高証明書は,銀行の窓口で申し込んでも即日発行は無いです.
窓口申し込み→窓口受け取りでも5営業日ほど掛かりますし.
郵送で受け取りの場合は,10日から2週間程度は余裕で待たされます.
申し込みから入手まで,10日から2週間かかります.
手元にある段階で有効期限が14日あれば御の字ですね.
新規で許可を取る場合は,決算書や確定申告書,預金残高証明書が必要になります.
5年後に行われる更新申請の場合は,この様な書類は不要です.
更新時の財産的基礎の要件は,5年間継続して営業した実績で証明することが可能だからです.
営業実績の証明は,毎年提出する決算変更届で証明する事になります.
逆に言うと,決変を出していないと役所的には営業実績なしと見做されます.
更新時に会社が赤字であっても,一般建設業許可の更新は可能です.
宜しければ,これらのコンテンツもご覧ください.
4コマ漫画で説明する見せ金での申請はヤバいという話.
資金が足りないけど許可が欲しいあまりに,一度は考えてしまいそうです.
500万円の資金調達能力がないのに,建設業許可を取ろうとする方の工夫?を排除することが目的ですね.
バラバラの日付の残高証明書を提出すると見せ金を疑われます.
上記の4コマ漫画で登場する悪魔の囁きに負けて,黒やブラックな書類で申請してしまうと,発覚した場合は不許可処分や許可の取り消し処分になってしまいます.
虚偽申請は欠格要件に該当してしまいます.
また建設業許可の取り消し処分を受けると,5年間は許可を取れなくなります.
許可を得られるメリットよりコストとリスクが大きすぎて割に合いません.
弊所では虚偽申請のお手伝いは出来かねます.
行政書士やまだ事務所 所長
行政書士 山田 和宏
日本行政書士会連合会 13262553号
大阪府行政書士会 6665号
大阪府行政書士会 法人研究会会員
申請取次行政書士(大阪出入国在留管理局長承認)
大阪商工会議所 建設・建材部所属
建設業経理士2級
【適格請求書発行事業者】
インボイス登録済
番号:T1810496599865
【専門分野】
建設業許可、経営事項審査、CCUS登録など建設関連の許認可手続き。
産業廃棄物収集運搬業、古物商免許。
年間相談件数は、500件を超える。
【運営サイト】