この記事は内装仕上げ工事業で建設業許可を取得する場合について。
弊所は内装仕上げ工事業のご依頼者さまが一番多いです。
(何故かは分からないですが…)
色々見てきた中で気付いた内装工事で許可を取るときのポイントを解説いたします。
結論から言うと、要件を満たしていれば許可は下ります。
内装仕上げ工事で許可を取る場合で、特に重要なのが技術者と常勤役員等の二つになります。
この記事でもこの二つを重点的に解説いたします。
内装工事を手掛ける会社や個人事業主の方が相談に来られた時に、なぜ許可が必要かお聞きします。
個別的な事情は色々ありますが、ザックリとまとめると以下の通りです。
①と②は内装以外の許可業種でも多い話です。
③に関しては、個人宅のリフォームが多い内装業界あるあるなのかと。
リフォーム業者の選び方でも、建設業許可の有無を調べるべしとあります。
建設業許可が無いと個人客の商売はシンドイと内装屋の社長からお聞きしました。
また先日(令和7年3月中旬)には、悪質なリフォーム業者の統括役が建設業法違反で逮捕など。
(無許可で500万円以上の工事を行ったため)
500万円の工事を軽微な工事に見せかけるため、請求書を分割していたとあります。
(そのニュースで請求書の記事アクセスが爆発しました)
前置きが長くなってしまいました。
(私の悪い癖ですね)
ここで建設業法で言うところの内装仕上げ工事について解説します。
国交省が出している告示には以下の様にあります。
木材、石膏ボード、吸音板、壁紙、たたみ、ビニール床タイル、カーペット、ふすま等を用いて建築物の内装仕上げを行う工事
引用:国土交通省、業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方
分かった様な分からないような説明です。
一言で言えば建材を用いて建物の内装仕上げを行うでしょうか。
(この部分に関しては、弊所より実際に工事をしている人の方が詳しいと思います)
上記の告示には、建設工事の例、考え方も書かれています。
建設工事の例としては以下の様なものがあります。
弊所の顧客だと、店舗やマンション・戸建てのインテリア工事、間仕切り工事、床仕上げ工事を取り扱う会社さんが多い印象です。
あと例示にある「家具工事」ですが、オフィス家具や文具屋さんが必要な例もあります。
文具屋さんでも大きくなれば、オフィス家具一式みたいな注文を受ける所があります。
発注した側も受注側も工事の認識は薄いですが、内装の「家具工事」に該当します。
文具屋さんや家具屋さんが建設業許可を持っていることも珍しくないです。
弊所ではインテリアデザインの会社や看板デザイン業などのデザイン系の会社の顧客も居られます。
(以外かどうかは分からないけど、女性の方からの依頼もそれなりに)
まずは内装仕上げ工事の営業所技術者などについて。
営業所技術者等は昔の専任技術者の事を指します。
営業所に内装工事の専任技術者を1人配置が必要です。
(営業所が二つあれば、2人以上の専技が必要になります)
営業所技術者等については、下記のカテゴリで詳しく解説しております。
ご興味のある方は、こちらもご覧頂けると幸いです。
専任技術者に求められるのは、以下の要件を役所に証明する必要があります。
証明難易度が低い順番にご紹介します。
2級建築士や2級建築施工管理技士(仕上げ)等があれば、免状コピーを出すだけで証明が終わります。
内装仕上げ工事が取れる国家資格は以下の通りです。
一覧にして見ると、免状だけで許可が取れる資格は意外と少ないですね。
弊所の案件で多いのは、「2級建築施工管理技士(仕上げ)」と「2級建築士」です。
基幹技能者に関しては、一度もお目にかかったことがございません。
あと2級の技能士や施工管理士の1次合格者、仕上げ以外の2級建築施工管理技士の場合、免状と3年から5年の実務経験で専任技術者になります。
次は指定学科と実務経験の合わせ技です。
建築学科などを卒業していると、必要な実務経験が短縮されます。
実務経験の短縮は大きなメリットになります。
内装仕上げ工事で使える指定学科は以下の物があります。
建築学又は都市工学に関する学科
指定学科と実務経験を使う場合は、卒業証明書と成績証明書と実務経験証明書と注文書などが必要です。
最近は学部や学科名だけでは判断つかないケースも少なくないです。
判断に迷う時は都道府県庁などに確認が必要です。
国家資格がなく卒業校が普通科や経済学部など指定学科以外の場合。
10年以上の実務経験が必要になります。
10年の実務経験の証明は難易度が高いです。
(証明できずに数年待ちもザラにあります)
実務経験の証明も自社の経験か他社の経験かで難易度が変わります。
あとは建設業許可業者かそうでない業者で。
実務経験の証明先 | 建設業許可あり | 許可なし |
---|---|---|
自社経験 |
やり易い |
少し大変 |
他社経験 | かなり大変 | 難しい |
実務経験の証明は、当時の在籍確認と当時の契約書や注文書が必要です。
建設業許可業者の場合は、許可申請書や決算変更届の控えで許可があった期間分は証明可能です。
(許可期間だけで足りない時は、注文書などが必要です)
まず注文書などは、内装工事のものに限られます。
工事の種類は上記を参考頂けると幸いです。
必要な注文書の枚数も都道府県によって大きく変わります。
この様に都道府県によって証明難易度が大きく異なります。
次に自社経験か他社経験かでも難易度が変わります。
自社の経験であれば、事務所やPC内で書類をさがしますが。
他社勤務の証明となると…
前の勤務先から建設業許可の控えや確定申告書、注文書などをお借りする必要があります。
前職との関係性や辞め方しだいでは、お借りするのが難しいケースが少なくないです。
(ここで頓挫するケースが非常に多いです)
営業所技術者等の次は、常勤役員等(経管)について。
建設業許可は経管と専技が肝です。
ここを満たせれば8割がたはゴールしたも同然です。
(ここを満たせずに断念する人も多い)
常勤役員等は一部の業種を除き、一番証明が大変です。
理由は国家資格がなく、経験でしか証明ができないため。
常勤役員等に関しては下記のカテゴリで解説しております。
ご興味のある方は、ご覧頂けると幸いです。
経管は建設業の経営経験の証明が必要です。
経営経験の種類は複数ありますが…
実質的には取締役か個人事業主を5年以上が大半です。
執行役員や補佐経験、チームでの経管もありますが、難易度が高いです。
これに関しても許可業者、無許可業者、他社証明、自社証明で難易度が変わります。
基本的に他社証明が難しいです。
経営経験の証明先 | 建設業許可あり | 許可なし |
---|---|---|
自社経験 |
やり易い |
少し大変 |
他社経験 | かなり大変 | 難しい |
常勤役員等の経験の種類は、建設業であればどの工種でも問題ありません。
大工工事の経験や建具工事などごちゃ混ぜでも認められます。
専任技術者や経営業務の管理責任者以外の要件について。
ここはまとめて一気に解説します。
上記2つに比べると難易度は…
まずは営業所の要件です。
建設業許可は独立した営業所が必要です。
倉庫や資材置き場は営業所ではありません。
営業所は建設業の契約など重要な業務を行う場所です。
営業所等技術者と令3条の使用人などの配置と営業所の体裁が求められます。
写真や建物の登記簿、賃貸借契約書を提出します。
詳しくは下記のページで解説しております。
建設業許可は一定の財産があることが必要です。
財産規模は500万と4000万と許可の種類で異なります。
ここでは一般建設業許可について解説します。
証明には自己資本が500万円か500万円の預金残高証明書の何れかが必要です。
(証明書は申請から1か月前と使用期限が短い)
次は欠格要件と誠実性です。
これは役員全員や個人事業主、令3条の使用人に求められるものです。
欠格要件に該当すれば不許可になります。
許可取得後も欠格要件に該当すれば、許可は取り消されます。
つぎは社会保険に加入しているかです。
加入義務がある人や会社は、厚生年金と健康保険、雇用保険・労災保険に加入が必須です。
証明書は標準報酬決定通知書や雇用保険の申告書と労働保険の領収書などがあります。
最近に義務化された要件です。
義務化から5年以上たつので、許可業者で無許可の所は無いと思います。
法人で申請する場合、会社の定款や登記簿の目的欄に内装仕上げ工事業に関する文言が必要になります。
これが入っていない場合、目的欄に対応した事業目的を入れる必要があります。
事業目的の文言も役所によって、判断が分かれます。
大阪府だと「建設業」と事業目的にあれば29業種全部OKです。
また誓約書と次回の決算変更届で新しい定款を出せば対応可能です。
この部分に関しては、申請先の手引きを参考にして頂ければと思います。
少し長くなりましたが…
以上が内装仕上げ工事業で建設業許可を取る場合でした。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
行政書士やまだ事務所 所長
行政書士 山田 和宏
日本行政書士会連合会 13262553号
大阪府行政書士会 6665号
大阪府行政書士会 法人研究会会員
申請取次行政書士(大阪出入国在留管理局長承認)
大阪商工会議所 建設・建材部所属
建設業経理士2級
【適格請求書発行事業者】
インボイス登録済
番号:T1810496599865
【専門分野】
建設業許可、経営事項審査、CCUS登録など建設関連の許認可手続き。
産業廃棄物収集運搬業、古物商免許。
年間相談件数は、500件を超える。
【運営サイト】