この記事は建設業許可業者が赤字続きの場合、許可更新が可能か否かについて。
赤字続きで資本金と預金500万円を切った状態で更新を迎えた状況の4コマ漫画
事業が赤字続きで、建設業許可の更新時期に差し掛かってしまったケースです。
建設業に限らず事業をしていると一時的に赤字になることは珍しくありません。
今期が黒字でも来季はどうなるのか誰にも分りませんからね。
場合によっては、税金の支払いが出来なくて滞納することもあります。
私ごとですが行政書士をする前は店を経営していて、消費税の支払いが出来なくて、税務署の徴税課に何度も相談と謝罪に行った経験があります。
あんな惨めな思いは二度としたく無いです。
このような状況で建設業許可の更新申請をしても、財産的基礎が無いと言われて許可をはく奪されるかもという思いを抱きます。
建設業を営む許可業者にとって、許可を無くすことは今まで積み上げていた信用を失うことに他なりません。
問題は赤字が続いても許可の更新が出来るかです。
状況
税金と社会保険料の滞納だけは注意してください。
更新前に溜まった税金を支払わないと更新拒否されるリスクが高いです。
(社会保険料は加入だけが要件でも未払いだと)
一般建設業許可であれば、赤字でも許可の更新は可能。
一般建設業許可の財産的基礎要件は3種類あり、いずれかを満たすことで要件をクリアすることが可能です。
大阪府の建設業許可の手引きには
上記の状況ですと、許可業者として5年間の営業実績がございます。
なので建設業許可の財産的基礎の要件はクリアしており更新自体は問題なく可能です。
許可的には大丈夫でも自己資本が500切る状態だと、
経営的には自転車操業になると思うので、
どこかで資本を増強する必要が出てきます。
個人的な話ですけども
更新に於いて財産的基礎も大事だけど、本当に大変なのは常勤役員等や専技の人要件なんですね。
特定建設業許可の場合は事情が異なってきます。
8000万円の工事が滞りなく行えるだけの財務力が要求されています。
特定許可は下請けの保護という側面が強く、一般許可よりも遥かにシビアな財産的基礎を要求されます。
具体的には5つの要件を全部満たしていることが必要です。
これらの5つの要件を更新事にチェックされて、どれか一つでも該当すると即座に特定建設業許可が無くなってしまいます。
特定許可を得る必要がある仕事を抱える業者にとって、許可が無くなることは事実上の廃業倒産です。
特定建設業許可でも更新時は、赤字でも要件さえ満たしていればOKです。
万が一ダメだった場合は、特定建設業の廃業と一般建設業許可の新規を同時に行うことに。
特定建設業の財産的基礎には財務用語が頻発してきます。
その中でも一番分かりにくい欠損が資本金の20%を超えないことについてご説明いたします。
特定許可での欠損の額が20%を超えないことを説明するための画像です。
図の右側の赤い棒が欠損の額を表しています。
会計上で赤字になると、繰越利益剰余金がマイナスになります。
このマイナスを帳消しにするために、資本金などの自己資本勘定が食い潰されていきます。
食い潰す順番は、利益剰余金や資本剰余金、任意積立金からとなります。
そして欠損額が積立金関係でもカバーしきれなかった場合は最終的に資本金を食い潰すことになります。
この積みあがった損失が資本金の2割を超えるて、資本金が80%以下になると特定建設業許可の要件を満たさないとして更新が拒否されます。
図の場合、自己資本額が4000万円でうち2000万円が資本金です。
このケースだと欠損の額が2400万円を超えると、資本金の2割(400万円)が損失補填に消えてしまいます。
結果、資本金が1600万円以下になってしまい、許可の更新が拒否されることになります。
ちなみに欠損額が資本金を全額、使っても潰しきれない状況を債務超過と呼びます。
赤字になってから年度変更届を提出していないとのことでした。
この場合ですが、許可の更新申請をする前に未提出だった決算変更届を提出する必要があります。
(出さないと更新自体が出来ない)
大阪府知事許可で一般建設業許可の場合ですと、赤字や債務超過になっていても5年間の営業実績で許可の更新が可能です。
5年間の営業実績は、毎年の決算変更届を出すことで証明することになります。
最近では大阪府も決算変更届の未提出に関して、厳しい対応をしてきますので、決算終了後の4か月以内には提出しておくことをお勧めします。