機械器具設置工事業の10年実務経験は難しい大阪府の建設業許可は行政書士やまだ事務所へ

機械器具設置工事業の10年実務経験は難しい

無料相談のご予約はこちら

建設業許可の新規で機械器具設置工事業

建設業許可の新規で機械器具設置工事業

 

今回の事例紹介は、建設業許可の新規案件です。
許可業種は機械器具設置工事業です。
ご紹介する事例ですが、登場する個人や企業の特定を防ぐため中身を改変しております。
以下に登場する団体や個人は如何なる団体や個人とも一切関係ございません。

 

 

大阪府にある某機械器具メーカー様よりご依頼を受けました。
許可が必要な理由は、顧客からの強い要望とお聞きしております。
大工系、土木・とび系では、協力会社からの要請はよく聞きます。
機械メーカーや設備系の会社でも顧客からの圧力で取得検討もあるようですね。

 

結論から申し上げると、受任から許可が出るまで時間がかかりました。
途中でストップした期間を入れると1年以上かかりました。
最短二日と書いておきながら…

 

建設業許可の新規案件は、許可業種でゴールまでに時間がかかります。
特に機械器具設置工事の様に難易度が高い許可業種だと時間が掛る傾向があります。

 

機械器具設置工事の事例

建設業許可の新規で機械器具設置工事業

 

今回の事例は、常勤役員等(経管)と専任技術者が別人でした。

 

  • 常勤役員等:技術部門の取締役
  • 専任技術者:技術部門の責任者

 

まず常勤役員等について。
経管になった人は、建設業許可業者での経験はゼロでした。
無許可業者での取締役経験で、経管に就任しました。

 

関連記事:無許可業者の経験で常勤役員等になる

 

普通に5年の役員経験と工事の注文書を揃えて申請しました。

 

専任技術者は10年経験で証明

機械器具設置工事で一番難しいのが専任技術者です。
(他業種は経管が一番難しい)

 

最初の候補者は、某工業大学を卒業とのことでした。
もしかしたら、3年の経験で大丈夫かと思いましたが…
卒業証明書を取得いただき、役所に確認を取ってもらいました。

 

関連記事:専任技術者の学歴について

 

結論から言うとダメでした。
カリキュラムに機械系の科目が入っていないためNGとのこと。
(人生は甘くないですね…)

 

結局は別の方を専任技術者にすることで解決しました。
こちらの方は、普通高校、文系大学を卒業後にエンジニアになった方。
文系上がりの技術者は意外といます。
私の父も経済学部を卒業後、金型メーカーに就職して金型設計のエンジニアをしていました。

 

こちらの方は、技術士や管工事の施工管理技士1次試験合格者ではありませんでした。
なので10年の実務経験で挑戦して、無事に専技になれました。
この会社が資料をキチンと残していたことが成功要因です。

 

 

関連記事:専任技術者の実務経験

 

関連記事:実務経験証明書(様式第九号)の書き方

 

 

他の要件に関しては特に問題ありませんでした。
財産的要件についても、資本金や純資産が500万円以上でしたので、決算書の添付でクリアしました。

 

機械器具設置工事の難しい所その1

機械器具設置工事の難しい所その1

 

機械器具設置工は、都道府県の建設業課や行政書士の間では難しいと評判です。
難しい理由の一つが、国家資格で取得できない事があります。

 

専任技術者は、施工管理技士や建築士、技能士などの資格があれば実務経験の証明が不要です。
機械器具設置工事の場合、対象の国家資格が二つしかありません。

 

  • 技術士
  • 管工事施工管理技士の1次試験合格者

 

技術士の機械部門のライセンスがある場合は、実務経験が不要です。
建設系の職種で機械部門の技術士を持っている人は見たことがありません。
技術士で許可を取るのは不可能に近いです。

 

もう一つは管工事施工管理技士の1次試験合格者です。
こちらは令和5年の緩和措置で、新たに作られたものです。

 

1級の1次試験合格者は、工学部の機械工学科卒業と同等の扱い。
2級の1次試験合格者は、工業高校の機械学科卒業扱い。
この様な取り扱いになっています。

 

ゆえに1級の1次試験合格者は、3年の実務経験。
2級の場合は、5年の実務経験で機械器具設置工事業が取得できます。
この制度が出来たため、以前に比べると若干取り易くなりました。

 

機械器具設置工事業は、工事の範囲が狭い

機械器具設置工事業の範囲の狭さ

 

機械器具設置工事業が難しいと言われるゆえんその2です。
工事と認められる範囲が非常に狭いことです。

 

機械器具設置工事の定義は以下の様になります。

 

機械器具の組み立てなどにより工作物を建設し、又は工作物に機械器具を取り付ける工事。
例示として、プラント設置工事、運搬機器設置工事、立体駐車場設置工事などがあります。

 

これだけ見ると機械を取り付ける工事と思います。
(ご相談者さまの大半も同じように考えます。)
機械器具の真に厄介な部分は、他の小路業種と重複する事が多いことです。

 

国土交通省の許可事務ガイドラインには、

 

① 『機械器具設置工事』には広くすべての機械器具類の設置に関する工事が含まれるため、機械器具の種類によっては『電気工事』、『管工事』、『電気通信工事』、『消防施設工事』等と重複するものもあるが、これらについては原則として『電気工事』等それぞれの専門の工事の方に区分するものとし、これらいずれにも該当しない機械器具あるいは複合的な機械器具の設置が『機械器具設置工事』に該当する。

 

引用:許可事務のガイドライン

 

重複する工事がある場合、機械器具ではなく「管」、「電気通信工事」に振られてしまうことです。
ここには書かれていませんが、「とび工事」の機械器具・建設資材等の重量物のクレーン等による運搬配置工事に分類されることも多いです。
実際に今回の案件でも、最初は「とび」工事扱いで、「とび」ならすぐに認めると担当官様から指導を受けました。

 

あとは機械のメンテナンスとも競合することもあります。
機械のパーツを組立てて組み込むレベルの工事だと、工事ですらなくメンテナンスと言われることもあります。
相談者の方は、機械を組み立てて組み込んでるから機械器具設置工事と仰ることが多いですが…
(メンテナンスは建設工事でなく、建設業許可は不要)

 

最後に機械器具設置工事の金額です。
多くの場合、注文書などには機械の値段も含まれることが多いです。
全体的に注文書は高額になります。
機械の値段によっては、500万円を軽く超えることも珍しくないです。

 

しかし建設業許可的には、500万円以上はNGです。
完全な新規の場合、500万円以下の機械器具設置工事を10年分が必要です。
担当官の方も「機械器具は矛盾した存在で、許可業者の経験者じゃないと本当に厳しい…」と仰っていました。

 

機械器具設置工事業は注文書だけでは認められない

機械器具設置工事業は注文書だけでは認められない

 

機械器具設置工事の難しさその3。
必要な経験年数分の資料を集めることです。
建設業許可は、都道府県ごとにローカルルールが大きいです。

 

関連記事:建設業許可のローカルルール

 

この記事は大阪府知事許可の例でお話しますが、東京や宮城県など行政庁が変ると資料が異なります。

 

大阪府の場合、許可業種の注文書が必要です。
大阪の場合は連続性を重視して、注文書と注文書の間が11か月以内なのがポイントです。
「とび」や「大工」、「電気」など分かり易い工種なら注文書の束で対応できます。

 

しかし機械器具設置工事は事情が異なります。
注文書だけ持って行っても、窓口で否認されます。
「これでは機械器具か分からない」
この様に言われて撃沈。

 

機械器具設置工事の場合、以下の書類がセットで必要です。

 

  • 注文書
  • 費用の内訳書
  • 工程表
  • 工事をしている様子の写真
  • 機械の写真
  • 機械のカタログや設計図

 

このセットを証明したい工事分だけ用意します。
例えば10年分であれば、上記のセットを10年分の工事全てに。

 

これだけ揃えても担当官からは否認が普通にあります。
多くの場合では、ここまでの資料が揃わずに終了も珍しくないです。

 

否認された後に項垂れた行政書士に掛けられる言葉。
「機械器具は難しいからね~」
「色んな人が持ってくるけど、通らない人の方が多いね」
全く慰めにもならない言葉です。

 

以上が機械器具設置工事の取り扱い事例についてでした。
ここまでお読みいただきありがとうございました。

この記事を書いた人

この記事を書いた人

 

行政書士やまだ事務所 所長

 

行政書士 山田 和宏

 

日本行政書士会連合会 13262553号

大阪府行政書士会 6665号

大阪府行政書士会 法人研究会会員

申請取次行政書士(大阪出入国在留管理局長承認)

大阪商工会議所 建設・建材部所属

建設業経理士2級

 

【適格請求書発行事業者】

インボイス登録済

番号:T1810496599865

 

【専門分野】

建設業許可、経営事項審査、CCUS登録など建設関連の許認可手続き。

産業廃棄物収集運搬業、古物商免許。

年間相談件数は、500件を超える。

 

詳しいプロフィールはこちら

 

【運営サイト】

 

建設業許可サポート

 

宅建業免許サポート

 

経営管理ビザ申請サポート

 

永住許可申請サポート

 

帰化許可申請サポート

 

配偶者ビザ申請サポート

 

著書のご紹介

行政書士やまだ事務所の著書

 

個別無料相談受付中

 

 

お客様専用フォーム