この記事は建設業許可の変更届の期限について。
建設業許可を始めとする許認可は、一度取得したら様々な手続きが必要です。
例えば、
この様に会社の状況が変化するたびに、それに応じた手続きが必要になります。
これらの手続きを「建設業許可変更等届出」と言います。
一般的には「変更届」と呼ばれます。
変更届は役所が持っている御社の情報を最新の物にするためのアップデートみたいなものです。
許可の変更事項は、重要度(許可要件的)に応じて締め切りが3パターンあります。
期限が2週間以内の物は常勤役員等(経管)や専技など、建設業許可でも一番重要な要件が該当します。
逆に期限が4か月あるのは決算変更届です。
正確には事業年度の終了後4か月になります。
年度が終了して、決算を組む時間(2か月前後)と確定申告の時間を考慮されています。
まずは変更が有ってから14日以内に届出が必要な手続きから。
2週間以内に該当するのは、許可のヒト要件です。
経営業務の管理責任者の変更には以下のものがあります。
経営業務の管理責任者の交代や削除などが中心です。
交代する場合は交代と削除の変更届がセットになります。
また常勤役員等(経管)の変更は、代表者の変更や役員の変更など色々な変更届がセットになることが多いです。
専技に関する届出は以下のものがあります。
専技の変更は経管の変更事項より種類が多いです。
在職中に新しい資格や経験で担当業種が増えたり、人事異動の存在があるからですね。
場合によっては、廃業届など別の変更届も一緒に提出する必要があります。
営業所の支店長(令3条の使用人)の変更届は以下の通りです。
営業所の新設や廃止は、営業所に関する届出も一緒に必要です。
営業所の変更と営業所長の変更届の期限が異なる部分に注意。
以下の人物が建設業許可の欠格要件に該当した時に出す変更届。
欠格要件は、禁固刑以上の罪が確定した場合などが該当します。
具体的な欠格要件は別コンテンツでご紹介しております。
ここから変更から30日以内に大阪府などの役所に届出が必要な項目をご紹介します。
まずは営業所の変更届です。
対象は本店(主たる営業所)と支店(従たる営業所)です。
提出書類は支店と本店では微妙に変わります。
(支店の方が多い目になります。)
営業所の新設や閉鎖、許可業種の変更の場合ですが。
本店の場合は経管、支店なら令3条の使用人。
支店なら支店長や専技の変更届も必要になります。
この時に経管専技と営業所の変更届の期限が異なるので注意が必要。
(実質的に14日以内に提出が必要)
会社の名前や屋号の変更などの変更届。
(例:有限会社→株式会社へ変更)
会社の名前などを変えたときに、役員構成なども変更した場合には該当する変更届が必要です。
株式会社などの法人のみ
資本金の変化に伴い株主構成などが変化した場合は、株主等の変更届も提出します。
取締役など役員構成が変わった場合です。
役員の変更と共に
これらの変更もある場合は、該当する項目の変更も行政庁に届出が必要。
5%以上の株主や出資者が変更した場合
資本金や役員の変更もあれば、それらの変更も一緒に。
個人事業で支配人(登記済み)の変更がある場合
経管や支店長、専技をしている場合は、それらの手続きも一緒に。
建設業許可を自主的に取り消した場合の届出
一部廃業で経管や専技を削除する場合には届出書も必要です。
最後に決算終了後に行う手続きを紹介します。
業界では決算変更届を決変(けつへん)と省略して呼ぶことが多いです。
決算変更届は毎年、役所に提出する必要があります。
これを提出しないと建設業許可の更新が出来ない仕組みになっています。
あと毎年の決算変更届を提出で、許可業者が営業している事を役所に証明することになります。
余談ですが、決変の内容(工事経歴書など)は閲覧で以外と読まれる書類です。
会社によっては決変を広告の1つと考える所も珍しくありません。
(広報の一環ととらえる会社は事業計画に気合いが入っています。)
変更届は建設業法で義務付けられた手続きです。
上記の変更事由が発生して、大阪府など役所に報告しないと罰則が存在します。
変更届の懈怠(放置)の罰則は建設業法第50条に規定されています。
第五十条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
二 第十一条第一項から第四項まで(第十七条において準用する場合を含む。)の規定による書類を提出せず、又は虚偽の記載をしてこれを提出した者
三 第十一条第五項(第十七条において準用する場合を含む。)の規定による届出をしなかつた者
2 前項の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=324AC0000000100
引用:e-Gov法令検索の建設業法第50条より抜粋
変更届の未提出や虚偽の記載を行った場合の罰則
上記の片方か両方が科される可能性があります。
万が一、懈怠で懲役刑が科された場合は、欠格要件に引っかかります。
こうなると…
現在の許可は取消し、新しい許可は5年間取得できなくなります。
(ペナルティが出た時に在籍していた取締役全員が対象に)
建設業許可は5年に1回、更新申請が必要になります。
その更新を行う前提として
この2点が必要になります。
万が一、変更届や決変が適切に出されていないと、更新申請の前に各種変更手続きを出す必要があります。
その分、余計な手間と時間が掛かります。
更新期限ギリギリに手続きに着手する時に、変更届などが未着手状態だと…
最悪は更新期限に間に合わないリスクがあります。
万が一更新期限に間に合わなかった場合…
現在の建設業許可は失効してしまいます。
関連記事:建設業許可の更新期限内に手続きが出来なかった場合。
また建築振興課などに始末書などの特別な書類の準備と行政指導がなされます。
大阪府も決算変更届についてのアナウンスを出しております。
ご興味ある方はこちらをご覧ください。
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/1007/00237396/ketsuhen.pdf
注意:上記URLをタップするとPDFがダウンロードされます。
法的な罰則では無いですが、間接的なデメリットに信頼性の低下があります。
建設業許可の申請書や変更届は一部を除いて、一般公開されます。
建設業許可の情報は、想像しているよりも多くの人に見られています。
様々な関係者が公開された情報を確認しに閲覧室にやって来ます。
毎朝、開庁時間を待って行列を作って並んでいます。
(並ばないと自分の番がやって来ない為。)
決変や変更手続きがなされていないと、コンプライアンス意識が良くないと評価されるリスクがあります。
今の時代はコンプラを無視しての事業は厳しくなっています。
建設業許可の変更届の期限でした。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
少しでもお役に立てれば嬉しいです。