この記事は建設業許可の更新許可申請する時の注意点をご紹介します。
建設業許可の更新申請の必要書類は以下のページでご紹介しています。
建設業許可は5年に1度更新する必要があります。
根拠条文は建設業法第三条三項に記載があります。
3 第一項の許可は、五年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。
更新手続きと聞くと、運転免許の更新の様にペラ数枚の申請書で済む様な感じがします。
建設業許可は、更新でも20枚近い書類の提出が必要です。
(役所的は更新書類で、申請者の状況を確認する)
建設業許可更新の注意点を漫画で表現したものです。
上記のマンガにもある様に、許可の更新申請書を出す前には
この2点が完了している必要があります。
もし終わっていない場合は、これらの書類を全部出してから更新になります。
建設業許可更新をする為には、決算変更届を5期分提出する必要があります。
更新申請書を提出する時に、決変5期分の書類一式を全部持参します。
必ず受付印(青色のスタンプ)が押された表紙かハガキが必須です。
(決算変更届を郵送で届出した時は、ハガキに受付印が押印されます)
何らかの事情で決算変更届の副本が残っていない場合は、役所に事情を説明して、役所が保管している正本で代用をお願いする必要あり。
5期分提出することで、営業実績ありとみなされます。
(更新時の常勤役員等は5期分の決変で経営経験を証明)
何らかの事情で、決算変更届が提出していなかった場合…
更新申請の前に、抜けている期の決算変更届を作成して提出します。
数年前の決算変更届の作成は意外と大変です。
過去の決算や工事実績を調べて書類に落とし込む必要があります。
また決算変更届には、1期ごとに納税証明書や標準報酬決定通知書など、確認書類を添付する必要があります。
確認書類は府税事務所など役所で取得することになります。
5年前の証明書が入手できない場合があります。
5年分マルっと提出を失念していた場合、公的書類が揃わないリスクがあります。
決算変更届を複数年分まとめて提出した場合、
役所の人から怒られることがあります。
(厳密には建設業法違反…)
場合によっては始末書を差し入れるケースも。
建設業許可の更新申請提出時に、5期分の決変の他に提出した変更届の副本も持参します。
変更届とは、一定の事由(例:役員の変更など)があった時に、遅滞なく役所に提出する届出です。
内容は上記の変更届の表紙に書かれた①~⑪までの項目です。
それぞれに提出期限が定められています。
何らかの事情で提出を失念する事があります。
この場合も更新申請の前に変更届を提出して、受付印を貰う必要があります。
これも申請書と確認書類を揃えて出す必要があります。
営業所の追加や専任技術者、常勤役員等など重たい目の項目だと非常にハードです。
変更届を出さずに、更新申請書に変更された内容をシレっと書いた場合、
担当官から更新の前に変更届を出してくださいと突っ返されます。
建設業許可の更新でトラップになりがちなのが、実は法人役員の任期です。
株式会社の取締役は、定款で任期が定められています。
上記の条件が重なると…
建設業許可の更新と役員の任期終了が重なります。
任期を更新するためには、株主総会で役員の任期を更新と役員の重任登記(任期更新)が必要になります。
重任登記は、法務局で登記申請をしなければなりません。
(ご自身か司法書士に依頼する形で、行政書士は業務範囲外)
この重任登記が意外と時間がかかります。
法務局に受理されてから2週間前後です。
時間に余裕がある場合は、何てことありません。
有効期限ギリギリだと、登記が間に合わない可能性が出てきます。
更新期限直近で役員の重任登記の未了が判明して
背中に嫌な汗が流れたことがあります。
幸い間に合ったので事なきを得ましたが。
建設業許可の更新申請で大変なのは、上記の様な届出が未提出の時です。
更新申請書+決算変更届+変更届と複数の手続きを一辺に行う必要があります。
しかも許可には更新期限が存在するので、基本的には特急対応することに。
4コマ漫画の最後のコマのように、必死に書類を作る羽目になります。
更新期限ギリギリに書類作成を始めると有効期間までに書類が完成しないリスクが発生します。
この様なリスクを避けるにも、ライセンスの維持管理は確実に行いましょう。
もしくは専門の行政書士にライセンス管理を委託するのも手です。
建設業許可の更新手続きは、許可期限の3か月前から行うことができます。
また更新手続きの締め切りは、許可期限の30日前までです。
理由は建設業許可の更新の審査期間が4週間であることが関係します。
30日前までに受理されれば、許可期限が切れる前に新しい許可が出る形になります。
具体的な書類提出期限は、新規・更新時に交付された許可通知書に書かれています。
運転免許証の様に役所から更新のお知らせが来ないので、提出期限を忘れないようにしましょう。
もっとも…
提出期限の2か月前後あたりから、行政書士事務所のDMが多数到着します。
役所からは通知が来なくても、ダイレクトメールが更新のお知らせ代わりに。
弊所がお手伝いしているクライアント様から、
行政書士さんDMが一杯来るんだよと言われて
他社のDMをトランプみたいに並べた物を拝見することも。
提出期限の30日を超えた段階でも、書類を窓口に持参すれば受付してもらえます。
有効期限内に役所から受理(表紙に青色のスタンプ)されれば、行政庁の決定が出るまで従前の許可は有効です。
大阪府の標準処理期間は4週間です。
有効期限1日前などに受理された時は、表面上4週間の空白期間が発生します。
法的には以前の許可が有効な状態です。
建設業法第三条4項にもその旨が書かれています。
4 前項の更新の申請があつた場合において、同項の期間(以下「許可の有効期間」という。)の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、従前の許可は、許可の有効期間の満了後もその処分がされるまでの間は、なおその効力を有する。
また大阪府の建設業許可の手引きにも同様の内容が記載されています。
建設業許可の更新申請があった場合、従前の許可の有効期間の満了する日までに更新の申請に対する処分がなされていない時は、従前の許可の効力はその処分がなされるまで有効となります。
表面上の空白期間が生じた間も、前の建設業許可が有効です。
堂々と500万円以上の工事を受注して仕事できます。
表面上の空白期間は、有効な建設業許可証が存在しません。
その部分がネックと言えばネックですね。
また有効期限ギリギリの申請は、書類不備で受理されなかった場合が怖いです。
(役所の担当官から、これでは受付できませんね…と言われたら血の気が引きます)
最悪、間に合わずに建設業許可が飛んでしまうリスクがあります。
大阪府には、建設業許可の復活制度は存在しません。
更新切れで飛ばした時は、再び新規申請で取り直すことになります。
必要書類が揃っているから、普通に取るよりは簡単だけど…
書類の提出期限を経過後に更新手続した場合、有効期限内に新しい許可通知書が届きません。
建設業法的には有効だけど、それを証明する許可通知書が無い状態です。
許可証がないデメリットは、施主や協力会社から許可の確認があった時です。
正式な許可証が無いので、証明する手段が存在がありません。
その時に更新中ですとだけ伝えた場合、先方から許可業者であるのか不安を抱かれます。
本当に持ってるの?
怪しいな
持ってないから、更新中って言ってるんじゃないの?
大阪府に書類を提出した時は、窓口で受付印(青いスタンプ)を押した副本を返してもらえます。
受付印のある表紙で許可業者であることを間接的に証明できます。
お客様から問合せがあった場合は、受付印のある表紙を提示することで対応可能です。
(あまりカッコいい方法ではないので、できれば避けたいものです。)
建設業許可の更新申請の注意点でした。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。