この記事は経営事項審査の点数とランクについて解説します。
上記の漫画にある通り、経営事項審査の総合評定値(P点)を基準に役所が独自基準で評価してランクを付けます。
このランクが曲者で、自社にあった工事とランクが一致しないなんてことも普通にあります。
漫画にはこの記事で言いたいことをまとめました。
ここからはマンガにある内容を掘り下げて解説したいと思います。
経営事項審査~公共工事入札までの手順は以下の通りです。
経審の流れは上記の通りです。
詳しくは別記事で解説しております。
ここで申し上げたいのは、経審の手続きだけで公共工事の入札は出来ないです。
公共機関(国家、地方自治体)が実施する入札参加資格申請が必要です。
入札参加資格申請で、P点を基準に官公署ごとに独自採点を行います。
独自採点の結果、ランク(等級区分)が付与されます。
大阪府の場合、AAランクからDランクの5段階に分かれます。
役所の独自基準は色々なものがあります。
例えば大阪府の入札の等級評価だと以下のような物があります。
地方自治体の公共工事だから、地元業者が優遇されます。
(地元の税金を地元経済に還元させたい狙い)
独自基準は役所ごとにバラバラでバリエーションに富んでいます。
献血や地元の清掃活動で点数加算する役場もあります。
等級区分に応じて、入札できる公共工事の金額や工事内容が定められています。
例えば大阪府の場合は以下の通りです。
いくつか抜粋してご紹介いたします。
下記の表は大阪府の等級区分及び工事金額より引用しました。
工種とランク 点数 金額 土木一式(AA) 1410点~ 13.5億~ 土木一式(A) 1150点~1409点 3.5億~13億未満 土木一式(B) 900点~1149点 9000万~3.5億未満 土木一式(C) 750点~899点 2000万~9000万未満 土木一式(D) 749点以下 2000万未満
上記は令和7年の土木一式の等級区分になります。
入札ランクは工事ごとに設定され、AAランクの点数も金額も異なります。
例えば電気・管工事の場合は以下の通りです。
工種とランク 点数 金額 電気・管工事(A) 1070~ 2億~ 電気・管工事(B) 785点~1069点 5000万~2億未満 電気・管工事(C) 725点~784点 2000万~5000万未満 電気・管工事(D) 724点以下 2000万未満
この表を見ると工事種別ごとにランクの点数や金額が違うことが分かります。
大規模工事中心の土木一式や建築一式にはAAランクがあります。
電気工事にはAAランクが無くAランクが最上位です。
また金額も一式工事とそれ以外では大きく異なりますし、等級区分の評価も電気工事は小刻みです。
役場事に経審の点数に応じて細かく等級が分かれます。
付与されたランク内の入札のみ応札できる仕組みです。
例えばAAランクが付与された業者は、それ以外のAやBランクの入札は参加できません。
この様に区分を細かくしている理由は、公共工事を色々な会社に受注してもらいたいからです。
役所(地方自治体)は地元の経済が潤う事を望みます。
AAランクの会社が全部の区分に応札出来たとします。
恐らくAAランクの会社が自治体の公共工事を独占することになります。
(AAランクは東京資本のゼネコンなど上場企業が中心)
地元の税金やお金、利益が他所の自治体を潤すだけで地元の還元されない事態は避けたいものです。
要は一度ランクを取ってしまうと、他等級の公共工事は諦めるしかない形になります。
等級が上がればライバルも強くなりますし、工事の規模も大きくなります。
(AAランクは、庁舎建て替えとかが中心で、ライバルも大手ゼネコン)
ランクが上がれば落札できる可能性が下がりますし、規模が大きいと時間もかかります。
さらに特定建設業許可の取得が絶対条件になります。
大規模な工事にチャレンジしたいなどの事情があるなら別ですが…
自社が一番やり易いランクで勝負をかける方が勝率は上がります。
自社でやりたい公共工事と経審の点数やランクが一致するとは限りません。
このあたりは会社の経営方針に依ります。
また落札したい工事の種類に応じて、経営事項審査の受け方も異なります。
1点でも高い点数を狙う場合もあれば、あえて点数を抑えた経審をする会社もあります。
(点数を下げて欲しいというオーダーもあります)
孫子の兵法の「形篇」にもありますが
「善く戦う者は、勝ち易きに勝つ者なり」
この文書には続きがあり、勝つ者は準備の段階で勝つべくして勝つ。
負ける者は勝負を仕掛けてから勝ちを狙うと。
偉そうな話になりますが…
公共工事で狙った工事を落札するには、勝てる所を目指して着実に準備する必要があります。
経審を行う前に、どの様な工事を受注したいのか、その工事はどこにあって、経審の点数とランクはどのくらい必要かを知ることが大事です。
色々と調べて行くと、自社で必要な経営事項審査の点数とランクが導き出されます。
必ずしもAAやAランクが必要とは限らないです。
自社にあったランクを目指した経審が大事です。
以上が経営事項審査の点数とランクについてでした。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
行政書士やまだ事務所 所長
行政書士 山田 和宏
日本行政書士会連合会 13262553号
大阪府行政書士会 6665号
大阪府行政書士会 法人研究会会員
申請取次行政書士(大阪出入国在留管理局長承認)
大阪商工会議所 建設・建材部所属
建設業経理士2級
【適格請求書発行事業者】
インボイス登録済
番号:T1810496599865
【専門分野】
建設業許可、経営事項審査、CCUS登録など建設関連の許認可手続き。
産業廃棄物収集運搬業、古物商免許。
年間相談件数は、500件を超える。
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