この記事は経審の公表と公表された情報をポジティブに活用する方法について。
この記事で説明したい内容は上記のマンガにまとめました。
ここからは各コマに書かれた内容を掘り下げて参ります。
経営事項審査(経審)とは省庁や地方自治体、独立行政法人など公共機関が発注する公共工事を受注する為に受ける審査です。
公共工事の入札に参加する為に、建設業者の実績や能力を一つのモノサシではかる為の物です。
経営事項審査の概要は別記事で解説しております。
ご興味がございましたら、こちらの記事もご覧頂けると幸いです。
関連記事:経営事項審査(経審)とは
経営事項審査では、以下の5つの項目ごとに点数が付けられ、最後にP点(総合評定値)がはじき出されます。
- X1(完成工事高)
- X2(自己資本額および平均利益額)
- Y(経営状況)
- Z(技術職員および元請け完成工事高)
- W(その他、社会性等)
この中でY点だけは、役所ではなく民間(半官半民)の分析機関が決算変更届の数字を参考に算定します。
経審の情報が公表される場所や内容
経営事項審査の結果情報は、下記の機関で公表されております。
- CIIC(一般社団法人 建設業情報管理センター)のサイト
- 都道府県庁の建設業課、地方整備局の事務室
CIICのサイトでは直近の経審の情報を検索することが可能です。
下記URLはCIICのサイトになります。
http://www7.ciic.or.jp/
CIICでは直近の経審情報を確認することが可能です。
(過去の経審データは見ることができません)
最新情報は経審が終わってから1か月後にCIICサイトに反映される形です。
(1か月間は役所の最終チェックのために保留となっている)
検索方法は、建設業許可番号、商号や名称と2種類の方法があります。
許可番号や社名が分からないと検索できない仕組みです。
建設業の検索サイトの様に片っ端から情報を抜くのは難しいです。
関連記事:建設業許可の検索について
経審を受けている会社の一覧表が欲しい場合は、建設業許可の一覧表(都道府県で公開)から1件ずつCIICで検索するか。
名簿屋さんでリストを購入するかになります。
リストの値段は安くないですが、1件づつ検索する時間と手間を考えるとコスパは良いかと思います。
CIICのサイトから入手できる情報は、経審の経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書のPDFデータになります。
引用元:ワイズ公共データシステム
CIICのサイトから、検索した企業の通知書PDFが表示されます。
このPDFはダウンロードすることが可能です。
CIICサイトの他、経営規模等評価申請を行った役所の窓口でも確認できます。
こちらの情報は役所の閲覧室で確認する形です。
時折ですが、自社情報を出したくないから非公開に出来ないかと質問があります。
CIICのサイトのFAQ(よくある質問)の中にも同じものがありました。
公表する趣旨が公益になるので難しいですね。
公共工事の公平性や透明性の確保、公開することで相互監視する形で不正を防ぐために公開されてます。
公開された経審情報を有効活用
ここからはCIICや役所で公開された経営事項審査の情報を有効活用する方法について。
他者の経審情報はある意味ではお宝情報になります。
- 同業他社の状況分析
- 取引先の信用調査
- 自社の経営改善
- 経審情報で実績アピール
同業他社との比較
まずは同業他社の状況分析の基礎資料になります。
特に自社と同等レベルの企業の経審結果は参考になります。
自社になくて他社にあるものをチェックして自社の改善点とすることができます。
特にY点(経営状況)やW点(社会性等)は比較的に手を付けやすい部分になります。
X点やZ点はなかなか難しい部分がありますが。
W点でもCCUSの実施状況の様に加点が難しい物もありますが。
費用をかければ比較的に容易に加点できるものも少なくないです。
関連記事:CCUS活用が経審の加点対象に
取引先の調査や与信管理に
次に取引先の調査の基礎資料に使えます。
財務状況を確認して倒産リスクが無いか。
技術職員数の推移を見て技術力の状況がどうなっているか。
何年も継続して確認することで、相手先の状況がハッキリとすることも。
(3期以上のデータがあれば凡その傾向が掴めます。)
既存の協力会社や新規の候補者の選定が低コストで行えます。
帝国データバンクや東京商工リサーチの情報は、便利ですがそれなりのお値段がします。
(しっかりと調査しようと思えば、必要になりますが)
自社の経営改善に経審を活用
次に経審情報を自社の経営改善に活用しようです。
経審は継続して受け続ける手続きです。
経審のデータを保管しておけば、自社の経営状況の推移がコンパクトにまとめられています。
また同業他社の情報とも比較が可能です。
同等レベルの会社から目標にしたい会社の経審は非常に参考になります。
Y点の改善は、財務状況を良好に保つことに繋がります。
W点の改善は従業員の待遇改善と定着化に。
WとYの改善は、回りまわってX点やZ点の向上に寄与します。
また相手のX点やZ点の割り振りも非常に参考になります。
特に公共工事を沢山受注している同業他社の経審情報は勉強になります。
入札は積算能力が肝ですが、それ以前のどのランクや点数にするのかは経審の永遠のテーマです。
総合評定値(P点)は高い方が有利とは限らないです。
自社に最適な点数を見つけるのに、同業他社の情報は非常に重要です。
関連記事:経審のP点は高い方が良いとは限らない
経審情報は信ぴょう性のあるデータ
最後に経審情報で自社の実績アピールについて。
特に対金融機関や行政機関、協力会社に対して武器になります。
金融機関に対しては財務状況の健全性をアピール。
行政機関向けは入札の他、補助金などの資料に。
協力会社に対しては、条件交渉の資料や新しい取引先を探すときの武器に。
世の中には様々なマーケティング手法がありますが…
どの手法も実績と信ぴょう性との戦いになります。
(この部分は弊所の営業でも重要視しています)
経営事項審査を用いることで、実績の信ぴょう性を担保できます。
役所や登録経営状況分析機関のフィルターを通したデータは信頼性が高いです。
(日本で役所以上の権威は存在しません)
まとめ
ここまで見てきたように、経営事項審査の情報はネットで公開されます。
経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書の結果が誰でも見れる。
この部分は変えようがないので、公開されることをポジティブに捉えて活用しましょう。
上手く活用することが出来れば、自社の経営改善、売上アップ、人材の定着化に貢献するデータになります。
金融機関から有利な条件での融資、行政の補助金、取引先との条件交渉、従業員の待遇改善。
以上が経審の公表データと活用方法についてでした。
ここまでお読みいただきありがとうございました。